2026/03/07 07:08

さてさて今年もそろそろ農繁期スタートです


 皆さまこんにちは。寒かったり暖かったり、そして極端な雨不足、という落ち着かない天候の冬が終わり、春を迎えましたね。養鶏農家としては、鳥インフルエンザの発生原因となる渡り鳥が北へ帰る時期なので、ほっとできるシーズンに入ってきました。


そして、野菜やお米農家としては、忙しくてほっとできないシーズンに入ってきました。24節季の「啓蟄」(けいちつ)を迎えて、文字通り土の中などで冬を越していた虫たちが動き出しました。虫たちだけでなく、冬の間動かなかった植物たちも光合成を盛んに始める頃です。野菜もぐんぐん育ち始める時期です。大根やキャベツなどの種まきや植え付け、ジャガイモの植え付け、夏野菜の種まきや苗づくり、田んぼの用意、秋収穫の芋の苗づくり、などが一気に押し寄せており、作業が山積みです。


「しゃえんば野菜セット」始動です。さてどのくらい植えられるかなあ…


 今年から、「とにかく無理をしないで続けていけるように」ということで、しゃえんば野菜セット、と銘打って野菜セットの定期便をお届けをすることにしております。農家のしゃえんば(南阿蘇の方言で、「さいえんば」が訛って、家庭菜園、の意味)のものをお裾分け、というコンセプトです。しゃえんばですから、自分が本当に家族に食べさせたいものだけを、無理のない時期に、農薬、化学肥料を使わず育てていって、お裾分けをさせていただく、というイメージです。


 天候不順の場合も、今まではあの手この手で薬や資材を使って出荷できるように無理をしていましが、しゃえんばならば「しょうがない」というスタンスで開き直る事にします(すみません~)。始めたばかりの頃は30歳そこそこで無理が効きましたが、最近はそれが出来なくなってきました。かといって、農業機械を乗りこなせる高度人材の採用や育成は本当に難しく、資材高騰も半端じゃなく、さてはてどうしよう、という結果としての「しゃえんば野菜セット」というわけです。後述のように、今年は、新しく入ってもらったスタッフさんに気持ちよくスムーズに作業をまわしてもらえるような仕組みを自分が作れるかどうかで、お届けできる野菜の量が変わってくる見込みです。


畔草で感じる「色即是空空即是色」


今年で就農20年目となりましたが、今でもふと田畑の畔や路傍の草を見て思い出す事があります。26歳の時、人生で初めて、農園暮らしをした時のことでした。栃木の農場で農場ボランティアという名目の居候をしていました。最初に担当した仕事は、「田んぼの畔草を刈って、牛にあげること」でした。実家は福岡の住宅街でしたし、外遊びが特段好きなタイプでもなかったので、草花の名前にはそれまで興味がなかったです。農園暮らしをする前は、大学卒業後、長期の山登りを生活の中心におくためのフリーター暮らしをしていました。山の植物には興味が無く、「冬にいかに厳しいルートから登るか」みたいなちょっと変な世界で頑張ってしまっていたました(笑)。


 数年続けてみて、その世界である程度やりきった感覚と、それと同時に自分の限界も見えて、「さて次は何をしようかな。いい加減いい年齢になったし、どうやって生活していこうかな。」と感じた

時に、友人が「有機農業の農場とか面白いんじゃないの」と紹介してくれた、というのがこの世界に入ったきっかけです。(木田っち、ありがと~!)


 そんな経緯で農園で暮らし始めて、毎朝の畔草刈りで数カ月経った時のこと…。「あれっ?、この畔、10日前に刈ったばかりなのに、もうこんなに伸びている。そして、あれっ?、この間咲いていた花と違う花が咲いている。いったい一握りの土の中に、どれだけの草の種が眠っているんだろう。そして、この草を食べて、牛が食べて、その牛乳を絞って自分が飲んで、身体の材料になっている。すごっ!!!」と思ったのです。もちろん、物質の循環という概念は知識としては理解していましたが、それが「腑に落ちる」ためには、草刈を数カ月毎日続けて牛に食べさせる、という「身体感覚」が必要だったのです。まさに、人生で初めて覚えた種類の感動でした。


 それから、有機農業の農家さんめぐりの旅を経て、最終的には2年ほど栃木の(別の)農場で研修をさせてもらって、30歳で九州に戻って独立をしたわけです。そして、それからもう20年…。もちろん、いつもはとにかく忙しくてそんなことを感じる心の余裕もありませが、本当に、ふとした折りに、ごくごくたまに、その感動を思い出すのです。私なんぞが語るのはむっちゃおこがましいのは百も承知ですが、こういうのが、仏教哲学でいうところの「色即是空空即是色(しきそくぜくうくうそくぜしき)」なのかなあ、と。つまり、「いろいろなものは形をかえていって存在して、増えもしない、減りもしない。自分と物、自分と他者の境界なんてない、今この瞬間がそうであるだけ。自分もまた宇宙の一部」みたいな感覚です。ん?、解釈が自由すぎる!?テキトーですみません(笑)。


ありがとうおおが君!


 この春、2年間うちで正職員として働いてくれたおおが君が卒業することになりました。「こういう農業学びたいな」ということで新卒でうちに来てくれて、それこそ馬車馬のように働いてくれました。とびきり寡黙だけどみるみるうちに仕事を覚えてくれて本当に助かりました。元々は3年の予定でしたが、「実家の近くに借りられるよい農地がでて、もう自分でやってみたくなりました」ということで、予定を早めての卒業となりました。そして、箱詰め担当で6年間も力を貸してくれたベテランのパートさんもご都合でお辞めになることになって、この冬に、バタバタと新しいスタッフさんを募集…。


 正社員さんの雇用はいったんやめて、その代わりに、7名のパートさんに来て手伝っていただけることになりました。ほぼ全員、子育て中のママさんです。ひとりひとりの作業量や作業時間は本当に少ないのですが、沢山人数がいることで、「子供が熱だしたので今日休みます~」という場合も全く問題なし♪、という農場にしようと思って、こういう形をとりました。でもそのぶん、皆が気持ちよく作業をしてもらえるような仕組みやマニュアル作り、そして品質のブレがでないようなシステム作りを頑張らなくちゃです。


うまく仕組みが作っていければ、畑にまわす時間が確保できて、しゃえんば野菜セットであっても、夏野菜も多めに入れられると思います。さてさてどうなることやら…。ん、他人事みたいですみません(笑)。視野狭窄にならないように、そのくらいのちょと気楽めのスタンスでいきます♪ではでは、皆様どうぞごきげんよう~。 


 3月1日 椛島農園 椛島剛士