2026/09/06 06:07
雨が降ってくれません! 皆さまこんにちは。熊本地震から1ヵ月が経ちました。千葉や北陸では、豪雨もありました。関東でも地震がありました。次から次に、もう勘弁して、という感じです。皆様のお住まいの地域がつつがなくありますように、と願っております。 7月中旬から下旬にかけての西日本全域での平均気温が過去最高を更新したそうです。なんだか数年に一度記録更新をしています。どうりで暑いわけです。そして、農家にとっては、気温よりもやっかいなのは、水不足です。7月7日の梅雨明け以降、今にいたるまで、一度も、土を潤すような雨が降っておりません。8月の中旬以降、時折パラパラとは夕立が降ってくれるようになりましたが、湿るのは土の表面だけで、ちょっと手でほじくると、中はカラカラで土埃が舞うという状況が続いています。土は乾燥しすぎると水をはじいてしまう性質があります。 どのくらい乾いているかというと――トラクターで畑を耕すと、まるで砂漠の砂煙のように土埃が舞い上がるほどです。ある日、日よけ付きのトラクターで帽子をかぶらずに作業したところ、帰宅したら家族が大爆笑。「顔が真っ黒だから笑ってるのかな?」と思ったら、「お父さん!髪の毛生えたね!」と(笑)。そう、頭のはげた部分が土埃で黒々と見えたというわけでした。 秋冬野菜が植えられない…。 そんな天候が続くと、当然水をやらなければ野菜が枯れてしまいます。ところが、うちの地域の畑には農業用水の設備がなく、水が必要なら汲んでくるしかありません。田んぼ用の地下水をタンクに入れて運び、エンジンポンプと特殊なチューブで散布します。手作業よりは楽ですが、それでも膨大な時間がかかります。しかも昼間は水が温まってお湯のようになり、葉や根を痛めるため、朝と夕方しか水やりできません。結果として、すべての野菜に水をあげるのは不可能、というわけです…。 就農20年目にして初めてというほどに、夏野菜がズタボロの状況になりました。そしてさらに困ったことに、あまりに土が乾きすぎて秋冬野菜の植え付けや種まきができない事態に陥っています。育苗ハウスの中では苗たちが所せましと並び「狭いー!蒸れて病気がきちゃうよー!早く植えてよー!」と、声が聞こえてきそうです。とにかく、まとまった雨が降るのを待っています。さすがに焦りを感じて、水を運びつつ、日よけのシートをかけたり外したりしながら、植え付けをしていますが、あまりに時間がかかって全然はかどりません。 倒産増加。400億! 幸い、うちは野菜専業ではなく米と卵農家でもあるため、経済的かつ精神的に追い詰められて苦しくなる、という状態にまでには至っていません。しかし、野菜専業で単一品目に依存している農家は、今年は資金繰りが厳しくなると思います。近年は農業法人の大規模化が進んでいますが、家族経営のように「今年は我慢の年だ」で乗り切ることが難しくなり、倒産リスクが高まります。 昨年は農業法人の倒産件数が過去30年で最多、負債総額は400億円を超えました。農業は他産業に比べて経営規模が小さいため、売上1億円でも地域トップクラス。その規模の法人が400軒潰れたと考えると、インパクトは大きいです。最新設備を導入して効率化を極めた法人ほど、円安による資材費高騰や人件費・燃料費の増加、そして気候変動に耐えられず倒産するケースが増えているようです。 トマト農家さんからいろいろ学んで中山間地の未来を憂う 先日、近所の同世代のトマト農家の友人と食事をしながら話をしました。あまりにも雨が少なくて嫌になってきて、「そういえば、他の作物作ってる人の,この厳しい夏の状況どうだろうか」と気分転換のために誘ったのです。 彼曰く―― 「先週までトマトばんばん採れてたけど、梅雨明け以降が暑すぎて受粉がうまくいかずに実がつかず、今週から収量が半分になった」 「日本の中山間地の農業は家族経営で支えられてる。じいちゃんばあちゃんが“ただで労働力を提供してくれる”から成り立つ世界に思える。非農家出身の自分は人件費が売上の4割を占めてしまう」 「法律の改正があって、夏だけ技能実習生を雇えるようになって助かってるけど、去年までは通年雇用するために冬に無理して作物を作ることになり、手元に残らなくなっていた」 「数年前はベトナムの実習生が多かったけど、今給料が良いから韓国へ行き始めている。今はインドネシアやネパールの人が多いけど、10年後に彼らが来てくれなくなったら日本の農業は終わりだと思う」 友人は、異業種でしっかりとしたキャリアを積みながらも、家族の事情で移住・就農した人です。もちろん、立場や状況によって、農業を巡る状況をどうとらえるかは多少の主観は入るものだとは思いますが僕よりかはずっと物事を俯瞰してみれる人だと僕は感じていて、ゆえに話を聞いて腑に落ちて学びが多いです。データを見ても、日本の農地の中で、広々として獣害が少なくて自由に水が使える効率的な土地はごく一部。傾斜がきつい「中山間地」は全体の約4割を占め、効率面では厳しい現実があります。 それでも希望はある、と思いたい それでも希望はあります。リモートワークが広がった今、都市部から中山間地へ移住して「自然の中でのびのび子育てしたい」という人が増えています。周りにもそうした方々が多く、うちでもスタッフとして働いてくれる人もいます。彼らが嬉々として家庭菜園を楽しむ姿にはまばゆさすら感じます。そのような方々が増えていけば、ちりも積もれば山となるで、耕作放棄地を減らしていくことができます。 中山間地の田んぼは洪水時に水をためるダムのような役割を果たし、文化や生き物の多様性の源でもあります。景観そのものが観光資源にもなり、経済効率だけでは語れない価値があります。中山間地の自然や文化は、まるで空気や水のような存在――あって当たり前で気づかないけれど、失われたら都市の人々も快適に生きていけなくなるのではないかと思うのです。 財政難の中で、どうすればバランスを取りながら人口減少社会でも皆が豊かに暮らせるのか。難しいですが、考え続けたいものです。今日もまた、水を汲んで水やりをしながら、そんなことをぼんやり考えています(笑)。残暑がまだまだ9月いっぱいくらいは厳しそうですね。どうぞご自愛くださいませ~。 9月1日 椛島農園代表 椛嶌剛士
